2008-10-17

_ オレオレ日本OSS貢献者賞

「2008年度日本OSS貢献者賞」の受賞者を選定の通り、 今年の日本OSS貢献者賞を受賞させていただくことになりました。 ITproの速報では、わざわざ気をきかせて、 うちの会社の名前を出してくださったようで、感謝感激です。

GRUBでオープンソースの賞を受ける等、いかにもRMSに怒られそうな話なんですが、IPAさんからの通知では、何が理由で選ばれたのか、承諾するまで教えられていなかったので、後の祭りだったんです、と言い訳させてください。

基本的にネタは発表に取っておきたいので、ここでは「空気を読んで」現場ではできそうにもないネタだけ。

私以外の、今回選ばれた方々はみな立派な人ばかりですし、 別段不満はないんですが、私の独断と偏見で選んでいいとしたら、 一体誰を選ぶか考えてみました。当然、すでに選ばれている人は除外します。後、確実に「オープンソースの人」と言われると嫌がりそうな「フリーソフトウェアの人」も除外します。

  • 野首さん。Namazuをはじめ、さまざまなソフトウェアの保守開発を引き受け、凄まじいばかりの努力をされています。私はソフトウェアが有用であるためには、「長く安心して使い続けられること」が最も重要だと考えているので、彼のような人こそ評価されるべきだと思います。
  • 狩野さん。FontForgeの開発をはじめ、数多くのフリーフォント・プロジェクトに貢献されています。オープンソースでデスクトップが使えるのは、彼の尽力に負うところが少なくありません。大体において、プログラマはドキュメントを書くとかデータを作るとかはやりたがらず、なかなかボランティアでは進展しにくい分野なので、とても貴重な方です。
  • 佐渡さん。SourceForge.JPやスラッシュドット・ジャパンの運営をはじめ、長年コミュニティの支援や広報活動をされています。オンラインで開発者が「何となく集える場所」が存在しているのは、彼のおかげといっても、過言ではないでしょう。
  • 前田青也さん。経営危機を経験されながらも、長年Good-Dayの経営者として活動され、オープンソース開発者がオープンソースで仕事をしてオープンソースに還元できる、そんな職場を初めて日本で実現された方です。今や私も経営者なわけですが、この立場になると、これだけ長く続けることがどれだけ大変かが身に染みてよくわかります。

私が選ぼうとすると、どうしても世間的には「地味」な印象の方が多くなってしまうんですね。だから私に列挙されてしまった方は、まるで祟りのように、決して本当には選ばれない、なんてこともあるかもしれません(ごめんなさい)。

逆に言えば、「選ばれる人」は表面的に見えやすい人に偏っているのが現実で、本当は「目立たないけど、すごい人たち」がもっといっぱいいるのだ、「選ばれた人」はあくまで分かりやすい例に過ぎないのだ、ということをみんなが理解してほしいと思います。(過ぎない、は言い過ぎかな...)

それから、itojunさんに関するコメントを見ましたが、この賞は本人から承諾を受けることが前提になっているようなので、そういう事情で無理なのではないかと想像しました。仮に彼が生きていたとしても、私の勝手なイメージではありますが、とてもFree Softwareという言葉が好きだったように思いますんで、OSSの賞を受けとることには否定的だったかもしれません。 本人が本当に嬉しがるかわからない以上、そういう賞を与えると、彼に対して無礼にあたるのではないかと思います。

[]

トップ «前の日記(2008-09-30) 最新