結局うまく行かなかったので、 しばらく自宅でハックばかりしていた。 それはそれで幸せではあったけれど、 どこにも行けないのはつまらんなあと思い、 近場でいいから、 普段やりたいと思いながらもやれてないことをやろうと思い立った。
というわけで、パリで美術館巡りが今回のテーマである。 わざわざ海外から足を伸ばしている方には申し訳ない言い用だが、 私にとってパリに旅行するのは、 静岡に住んでいる人間が東京へ旅行するようなもんである(多分)。 どうせときどきは社用で行くことがある所だし、 短時間で行けるがそれなりには運賃がかかり、 思い切って旅に出るには中途半端、 まあそんなところである。
しかし折角フランスに居るんだし、 一度ぐらい行っておかにゃ、とも思っていた。 それで、小雨がぱらつく中、えっちらおっちら出掛けたわけである。
一日目はどこにも入館する気がなかったので、 午後になってからのんびり出発。 到着後、荷物を置きに、さっさとホテルへ直行。 ここで早速ドライヤーを持参しなかったことに気付くが、 まあいいやと割り切る。 地方であの値段なら三つ星に泊まれるから、 ドライヤーぐらい付属していて当然だが、 ここはパリ。 二つ星なので、部屋の装備もそれ相応である。 いつも何か持って来忘れるのが困るが、 一度「持ち物リスト」とか作成しておくといいのかもしれない。
まず英語書籍の専門店である WH SMITH に赴く。 確かに普通の本屋よりは圧倒的に英語書籍が手に入るが、 思ったより少ないと感じた。 結局目当ての本は見付からなかったので、 代わりに PKDの The Simulacra を購入。 これは日本語訳が非常に手に入り難い状態なので、 買って損はあるまい。
別の本屋にも行こうと、 Forum Des Halles の Fnac に行く。 それなりには広いが、外国語書籍はやっぱり他のFnac同様に絶望的に少ない。 せっかく来たので、 行儀の悪いガキがうじゃうじゃしているマンガのコーナーに行き、 私も同様に行儀悪く立ち読みすることにした。 それで分かったが、 ジョジョのフランス語訳では「スタンド」はそのまま「Stand」であることが判明。 実につまらない。 「stand」は英語から輸入されてフランス語にもなっているが、 ジョジョのスタンドとは全く意味が異なるので、 これでは何の訳にもなっていない。
勉強を兼ねて、ジョジョの第一巻(これはオリジナルが家にあるので、比較がしやすい)を買って、 無印良品 に行く。 フランスの無印はこれが初めてである。 はっきり言って、店舗はとても小さい。 食品はなく、文房具、服、食器等がある程度。 それでもミルクの入浴剤が嬉しかったので、 一つ買っておく。
腹が減ってきたので、 ちょっと様子を見てみようと、 野田岩のパリ店 までてくてく歩いてみたが、 案の定というか、 バカンスで閉店中だった。 31日からじゃないとやらないらしい。
少々足がくたびれてきたが、 明日はもっと疲れて遠出する気にはなれないだろうと予測できたので、 Pho Banh Cuon 14 へフォーを食べに行く。 割合早くに行ったので、すんなり食べることが出来たが、 自分が店を出るときには行列ができていた。 一応有名な店らしい。 値段が安くて、パリでこれだけ安い飯を外食するのは難しいから、 それを考えると随分お得だ(フォーガー、ビール、食後のカフェでたったの7ユーロ)。 しかし正直なところ京都のどっかのアジア料理店で食ったフォーの方が旨かった気もする。
ホテルに帰って、 TVでCorogne対Marseilleのサッカー試合をのんびり観戦。 なんかやたらとカードの多い試合で、 途中まではよかったが、 レッドカードがCorogne側に出てしまって、 すっかりつまらん試合に。 結局Marseilleのぼろ勝ち。 しょーもないゲームを見てしまったと思いながら、今日はお休み。
パリでは何分社用で時間がせいていることが多く、 普段はメトロばかり使っているが、 メトロはあんまり好きでない。 パリのメトロって、何でかよく分からないけれど、 いつもじめじめ蒸し暑い。 臭いし、乞食の楽隊に運悪く乗り込まれると、 非常に不愉快な思いをすることになる。
まあそんなわけで、今日は初めてバスを使うことにした。 システムはフランスの他の地域と同じなので、乗物自体は面白くない。 しかし、地下と違って、景色に変化が多いのはよろしい。 でもフランスの一般ドライバ同様に、 バスの運転手も運転が荒すぎる。 なんであんなに急加速や急停止が必要なのか。 交差点曲がるときぐらい徐行しろっての。 腹いっぱいの時にこれをやられると、ゲロ吐きそうになる。
とにかく、予定通り9時過ぎに ルーブル美術館 に到着。 ルーブル宮は前に来て見たことがあったが、 中にはまだ入ったことがなかった。
チケットを買ってから、 日本語版のマップを手にしたが、 これが間違いだった。 ルーブル内はそこそこ他の言語での表記もあるが、 フランス語がほとんどである。 日本語の地図は、ご丁寧なことに、「1er etage」を「二階」と翻訳してくれている。 最近日本語で見ることなんてないから、 すっかり失念していたのだが、 日本は一階から数えるのであった。 「2eme etage」を思いっきり「二階」と勘違いしてしまった。 おかげでしばらく位置を見失って、右往左往してしまった。
人が少ないうちに、の目論見はこれでかなり外してしまったが、 気を取り直して、人が幾分少ないうちに有名作を見ておく。 個人的に一番見たいと思っていた「サモトラケのニケ」を最初に観賞した。 長年想い続けてきただけに、感動ものである。 実際素晴らしい作品である。 ケツの穴から櫂のような物体が突き出していたのだが、 あれは支えるためなのだろうか。 全く説明を読まなかったので、 本当のところは分からない。
「ミロのヴィーナス」はふーんと思った程度。 正面の写真しか見たことがなかったので、 彼女がハンケツだとは全然知らなかった。 作者は相当な助兵衛なんだろう。
「モナリザ」もふーんと思ったぐらい。 とにかく人が多くて、 しばらく並ばないと近づけない上、 最短距離でもかなり距離がある。 フラッシュ焚くなと言われても、 ばしばしフラッシュ切らずに写真撮る奴が後を絶たない。 あの状況で作品を楽しめって方が無理である。
大体、美術館に来て、 有名作にたかって記念撮影などしている連中は阿呆だと思う。 作品そのものを見ずに写真撮ってそれで満足か? 実際写真だけ撮って、さっさと退出している連中は山程居るのだ。 犬のしょんべんじゃあるまいし、 ちゃんと見たいと思っている人間の邪魔してまでやることか。
かなり頭に来たので、思わず毒を吐いてしまった。 この辺で有名作は嫌気が差してきたので、 エジプト、メソポタミアなどからの略奪品の数々を観賞してから、 比較的人の少ない「ハムラビ法典」を最後に、 知名度の高い作品には近付かないことにした。
三階に移り、ようやくのんびり観賞できるようになった。 が、適当に移動していたので、再び現在地が不明になってしまう。 ルーブルはとにかく広いし、 部屋番号が、同じ階でも区域が違えば再利用されるという変なシステムなので、 番号見ても判然としないのだ。
場所を知るのはしばらく諦めて、 ゆっくり愉しんでいたら、腹が減ってきたので、 二階に戻って、人の少なそうな彫刻作品中心の場所の近くにあるカフェに入る。 ここも早くに行ったので、自分は楽に入店できたが、 出る頃には行列ができていた。 早目に行動するのが吉と。
カフェを探す段階で場所は確認できたので、 また三階に行き、 今度はもっと計画的、網羅的、効率的に巡ることにする。 三階は絵画中心であり、 特にフランス画家の作品が多い。 年代別、流派別に並んでおり、 特に有名ではないが、良い作品が多い。
だがここで懸念された問題が起きてきた。 足が疲れてきたのである。 美術館や博物館に行くと、よく歩くことになるので、 普段から足を鍛えておけって、これは以前に悟ったことなのだが、 普段歩かない仕事なので、急に長時間歩きつづけるのは大変だ。 しょーがないので休み休み行動するが、 確実に疲労は溜っていく。 今日は一日かけて観ていこうと計画していたが、 4時前で断念することにした。 絵を観るより、足がだるいって方に気を取られるようでは、 美術館に居るだけ無駄だし、 明日もあるんだから。
多分三階は半分ぐらいか。 全体で言うと、おそらく四分の一ぐらいしか観れなかったと思う。 噂には聞いていたが、確かにルーブルは大きく広い。 一日では全部観れないということを体感で理解できた。 是非もう一度足を運びたいものである。
天気が良くて、気持ちよかったので、 チュイルリー公園 を少し散歩してから、 ホテルへ帰って、しばらく休憩。
どっかで飯食うか、でも遠出はもう嫌だなと感じて、 近くのインド料理屋へ。 インド人、いろいろ話しかけてきて、 こっちが元気なときは楽しいんだが、 疲れているときは少しは放っておいてくれと言いたくなる。 食って元気が出てから、 お互いになんでフランスなんかで働いているんだとか、 ちょっと真面目な話をする。 彼の娘の話とか聞いていると、 ああ格好いいなーと感じてしまった。
ちなみに、この日はどこでもこっちがフランス語を使うと、 相手もフランス語を話してくれる日だった。 ルーブルもそうだったので、とても気分が良い。 特にパリはこっちがフランス語で話しかけても英語で答えてくる人が多い。 これは実のところいい迷惑である。 勉強にならないとか、俺のフランス語は通じないのかと悲しくなるとか、 そういうのもあるが、 もっと機能的な問題がある。
こっからは私自身の仮説であり、直感的にこうじゃないかと思っていることなのだが、 英語とフランス語は使用する脳内回路が同じか、 相当に共有しているのである。 排他的関係にあり、同時に使おうとすると、 衝突してしまうのだ。 だからイギリスに行っても、 思わずフランス語で答えてしまうという間抜けなことが起こるし、 こっちが予期していない方の言語が現れると、 脳に負担がかかるのである。
それに対し、日本語と英語/フランス語は異なる回路を利用する。 しかし入出力回路は共有しているわけだから、 同時に現れると、衝突ではなく、競合が起きてしまう。 そのためか、フランス語で話した直後に日本語で電話したりすると、 私は必ずどもってしまう。 同時通訳なんて器用なことができる人が羨ましくなる。 入力と出力を別々の回路に割り当てられるのだろう。 残念ながら私の脳はそんなに都合良くはできてないので、 私が通訳しようとすると、めちゃくちゃタイムラグが生じてしまい、 同時通訳と言うより遅延通訳になってしまう。
とにかく、こっちがフランス語でやろうと努力しているときには、 向こうだってフランス人なんだから、 普通にフランス語で話してくれるとありがたいものなのである。 どうしても駄目なときはこっちからSOSを呼びかけるから。
書くのに疲れてきたので、続きはまた明日。
これでは、だめなんでしょうか。<br>[1, 2, 3]<br>[]
それだと破壊的でないので、意味が変わってしまいます。<br><br>...<br>[1, 2, 3]<br>...<br>[]
del [:] demohttp://www.python.jp/doc/release/lib/typesseq-mutable.html
del a[:] でもいいようです http://www.python.jp/doc/release/lib/typesseq-mutable.html