いい加減荷物を準備するかと始めてみて、 日本の場合は大して何も持たなくてもいいということに気づいた。 着る物と暇つぶしの道具ぐらいで十分か。 足りない分は簡単に現地調達できるし、 ホテルの備品が豊富だからなあ。
しかし日本が面倒なのは土産文化だな。 要らないと言ってくれる人もいるが、 何も持たないと露骨に不機嫌な人もいるし、 何となく手持ち無沙汰で居心地が悪いので結局何か用意しないと仕方がない。 でもあんまり多いと重くなるので、ほどほどにする。 こういうところは「土産は話」で済んでしまうフランスは楽でいい。
昔映画「マトリックス」を観た時、 私は「こんな60年代のネタで今更...」とこき降ろしたものだったが、 具体的に何のパクリなのか思い出すことが出来なかった。 サイバーパンクSFで似たようなネタはいくらでもあったけれど、 それ以前にもあった気がしてならなかった。
で、ようやく最近判明したのだが、 Richard Mathesonの「When the Waker Sleeps」ではないか。 とすると、60年代どころか、1950年の作品ですよ、これは。
ネタバレで行くと、この作品のあらすじは、
侵略者 (Ruston) によって、ほとんど機能停止した都市において、 ある精悍な男が眠りから目覚める。 無意味な作戦会議の後、 コンビを組む若い女性を供にして、制御システムを死守するため戦いに赴く。 しかし侵略者との戦いで負傷し、辛うじて勝利するものの、 その女性も瀕死の重傷に陥る。 受けた毒を中和するため、彼女と自分自身に注射をうつが、 意識が遠のいてしまう。 目覚めるとこれが素晴らしい夢であったと知り、 心理療法士にいかにそれが奮い立つような経験であったかを語る。 だがその心理療法士は彼のような人間を山程抱えており、 この人類という種が滅亡寸前でありながら、 いかにシステムを機能させるためとは言え、 なぜ人工的に夢を見せつづけ、一思いに死なせてあげないのかと嘆く。
まあ大体こんな感じで、 50年も昔に奇抜なアイデアを生み出し続けたMathesonはやっぱり偉大だったのだなあ、 と思い入る。