2007-03-08

_ sense of wonder

Magic number 1440 (Heart Beats) より:

学生の多くは数字の裏に隠された "生命の sense of wonder" を感じとることができず、試験前になるとただ magic number として暗記しているだけに過ぎないのです。何という悲劇でしょうか。

これを読んで、 少し思い出したことがありました。

生物学時代、 同じ生物学専攻の友人が 「医学部の友達が生物はつまらないと言っていた。暗記するだけだから。」 と言いました。 「所詮経験則を訳も分からず適用するだけの臨床医が...」と、 かなり悪態をついたのを覚えています。

もちろん、医学部の学生やお医者さんが、 みんなそういう考え方しかできない人ってことではありません。 臨床医なのに基礎医学に未練満々な方に出会ったことがありますが、 私が生物屋さんだと知って、 非常に熱く語ってくれました。 逆に私はヒヤヒヤしましたが (患者に向かって「本当は臨床は好きじゃないんだよね...」などと言ってはならない!)。

とにかく、不思議を感じる心は重要ですね。

ヒトが他の動物と根本的に違うのは、 そのたぐい稀な知的好奇心にある、とする説があります。 ちなみに、この説に反対する人は、 例えば、猫科の動物を挙げて、反証します。 猫はどっか覗いてみるとか、ちょっと触ってみるとか、 なかなかに知的好奇心旺盛な生き物ですから、 ヒトだけじゃないぞ、と。

もちろん程度問題とも言えるのですよ。 猫は食べて毒かもしれないキノコを食べてみたりはしません (最初にキノコを食べた者を尊敬する!)。 ヒトを全く異なった生き物であらせようとする試み自体が、 私の観点では、宗教観に毒された過ちなのです。 しかし、だからと言って、ヒトに他とは違う特徴がないというわけでもありません。 ヒトがここまで、自身の身体能力を大きく越えて進歩したのは、 間違いなく、並々ならぬ知的好奇心が一役買っていることでしょう。

sense of wonderはヒトの持つ武器だとも言えます。 今いる世界から一歩先に進むための道具です。 sense of wonderがなければ、井の中の蛙です。

ところで、 西田さんは GNU開発ツール を自費出版されましたが、 遅ればせながら感謝の意を示したいです。

以前私は、西田さんが良書が廃刊されて入手困難になることを憂えておられたのに対し、 御自身の記事こそ後に残る形にされてはどうかと意見したことがありました (ちょっとその記事は今見付かりません)。 西田さんが私の考えを読まれたかどうかは分かりませんが、 この自費出版はとてもポジティブな方法での返答だと受け止めてます。

そもそも私が西田さんの活動に関心を持っているのは、 Unix Userの頃のあれこれがあるからなのですが、 それについて書くのは、誰もいい気分がしないと思うので、控えておきます。

とにかく、 GNU開発ツール をまだ持ってないけど興味があるって人は買ってあげてください。

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