2007-12-04

_ 勝手に働く社員

しばらく前に、トヨタの人が過労死した問題で、 裁判所が会社側に責任があるとする判決を出した、 ということがニュースになっていた。 あまりそのことについて口に出したりしないでいたのだが、 実は結構気になるニュースであった。

どうも最近は経営者側の立場で物事を見る癖がついてしまっているので、 もしこういうことがうちであったら、一体どういうことになるのだろうと考えてしまうのである。 記憶がやや曖昧なのだが、確か「就業時間外に活動をしていて」「その成果が本業に反映され」「そのことが給与に反映されていた」ということが根拠だったと思う。 このうち、少なくとも、最初の二つは実際にうちにも当てはまることがあって(名前の付いたサークルを作るなんてことまではしないが)、 もしそれが原因で大変な病気にでもなられたら、 (法的に)会社に責任を求められるのだろうかと不思議に感じた。

うちの会社は、昔書いた気がするけど、 働くのを止めるタイプの会社である。 そこまで夢中になってくれるのはありがたいのだが、 週末に働いちゃいけないと言わないとやめてくれないことがある (言っても聞かないこともある)。

しかし、うちで作っているのはフリーソフトウェアだ。 誰でもダウンロードして、いじって、配布することができる。 法人がリソースをめちゃくちゃ割いている点を除外すれば、 他のフリーソフトウェア・プロジェクトと何ら違いはない。 うちの会社とは、いかなる意味においても、関係を持たない人がパッチを投げてくることもあるから、 同じことを社員がやったとしても、そのこと自体は咎め立てする理由がないし、 時間外だから、その成果は受け取れないとも言えない。 こういう状況は、果してトヨタの判例のように取り扱われるのだろうか。

今日、Yにこのことを話していると、 「やらなかったから給与が下がるなんてことはないんだから、 そんなことはない」という意見をもらったが、 トヨタはそんなにひどいことを本当にしているんだろうか。 私はトヨタとは一切関係がないので、事実はよくわからない。 しかし、何だか不安な気持ちは消せないのである。

だが、それ以上に疑問に思っているのは、 どうしてそこまでして会社にしがみつくのだろうということだ。 世代の違いなのかもしれないが、 私の世代では大きい会社がいきなり潰れたり、解雇されたりして、 同じところにずっと居られないことが当たり前になっているから、 もはや終身雇用なんて全く信じてないものと思う。 そして転職が別段珍しいことでもない。 そういう状況において、死ぬまで働くということがにわかには信じがたいのである。

家族を養う必要があるなどの理由で、簡単には辞められない事情というものはあるのだろう。 しかし、ならば余計に、死ぬのは一番よくないんじゃないかと思ってしまう。 自分では死ぬとは思っていなくて、いきなり命が尽きてしまったりして、 気がつかないうちに終わってしまうか。 だとしたら、こんなに恐ろしい死に方はないと感じる。

仕事ですばらしい成果をあげて、まわりから賞賛され、 それで給料も上がっていく。 それ自体はすごくいいことだと思うのだけれど、 自分には、健康を害すると元も子もないという考えが根本にあって、 途中で防衛体制に切り替わらないのはよくないと思う。

まあそれでも、そこまで必死に働いたんだから、 本人にとっては面白い仕事でもあったんだろうと想像すると、 少しは救われる気分もするんだけど。

_ 元がよくないものはどうあがいてもよくならない

タイトルがすべてを言い表している。 ちょっといやんなっちゃってます。

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_ 通りすがり (2007-12-05 12:35)

この事件特有の理由もあるのでは。トヨタ城下町と呼ばれるまちに育ち、祖父、父と三代にわたってのトヨタの社員。我武者羅に働くおやじたちを間近にみて育ったことがこんな結果を生む一因だったのではないでしょうか。問題は、そんなにまでして働く滅私奉公精神をどうトヨタ首脳が思っているかでしょうか。有難迷惑な面があるかもしれませんが、今があるのはそんな人達のおかげであること事実だし、企業にとってはそんな社風は財産ですからなかなかこのぐらいのことでは手放すことはできない。その場限りの手当をしていくのか、抜本的な社員再教育、登用改革まで手を着けるのか。

_ かずひこ (2007-12-05 16:45)

えーと、とりあえず病気になっちゃってごめんなさい。

_ okuji (2007-12-05 22:12)

別にかずひことは関係ないんだけどね。

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