F氏より。 私はうう男だ。 おめでとう(意味不明)。
かなり昔から私が事ある毎に「それはちがうでしょ」と言い続けている問題。 それは「商用ソフトウェア(commercial software)とフリーソフトウェア(free software)」。 そもそも「商用ソフトウェア」が何を意味するのかも疑問ではあるけれど、 それは置いとくとして、 少なくともこれらの概念は直交である。 直交である、というのは独立に付随する概念であって、 排反的ではないということ。
ところが「commercial = proprietary」、「non-commercial = free」という 誤解がいまだに広く流布しているのである。 困ったものだ。 とりあえず、ソフトウェアが「commercial」であるとは、 そのソフトウェアを営利目的に開発、配布が行われていることを意味するとしよう。 そうすると、「free (自由)」かつ「commercial (商用)」は今では広く行われていることが分かる。 古くは GCL に始まり、 うちの会社でやっているものとか、 カスタマイズで稼いでいるという意味では ApacheやMozillaなんかもそうだろう。 そして、逆に、「proprietary (不自由)」かつ「non-commercial (非商用)」というのも巷にはたくさんある。 WindowsやMac向けで「freeware」と書かれているものは大体これに当てはまる。
しかし英語においては「free」がタダの意味がある以上、 こうした誤解が解けないのはやむを得ない部分もある。 ところが、それに合わせて作ったはずの「Open Source」でさえ、 同じ扱いを受けているように見受けられるのである。 じゃあ一体何のために新しい言葉を造ったのか、 さっぱり訳が分からなくなる。 ここまで来ると、ほとんど悪意に近いものを感じるのだが、 OSIの人達はどのように考えているのであろうか。
だが、これは英語だけの問題ではない。 例えば、フランスでは「logiciel libre」と呼ぶ。 「libre」は「自由」であって、「無料」ではない (厳密には「無料」の意味に使われることもあるようだが、 普通は「gratuit」を使うので英語ほどの混乱はない)。 だから、そのような誤解が生じる原因はなさそうに見える。
しかし私自身は経験で知っている。 同じ誤解が広まっていることを。 ある時、学生の発表に付き添って、一緒に、とある学校に行ったことがある。 このとき、その学生は「logiciel libre」の反対を意味する用語が咄嗟に出なかった。 すると、学部の責任者らしき人が「logiciel commercial」だと言ったのだ。 そうでないだろう、「logiciel proprietaire」だろう。 その時、正直私はこの学校は駄目だと思った。
日本でも大して差異はないように思える。 一体いつになったら分かってもらえる日が来るのだろうか。
実際のところ、「誤解」してる人はそんなに多くなくて、状況として「フリーソフトウェア=非商用」「プロプライエタリソフトウェア=商用」であることが多いから、単にエイリアスとして使われてるだけでしょう。一昔前まではそれ以外のものは例外的だったからそれで別に困らなかったし。
本当は二次元の世界に住んでるのに、一次元の世界としてしか認識できてない、と考えることもできるでしょうか。そうだとすると、分かってもらうのはなかなか大変なようにも感じます。悲観的だなあ。
要するに、のっぽは馬鹿とか、巨乳は阿呆とかと同じヨタ話ってことなんでしょうか。>zundaさん
ちなみに、私は誤解している人がそんなにいないなんて、全然思わんですよ。slashdot.orgなんか見てても、いっぱいそういう誤りを含んだタレコミが掲載されているし。
何というか、何か二次元の世界に住んでいる生き物が居るとすると、その生き物には上とか下という感覚は無さそうですよね。あるいは素粒子物理学者がこの世界は11次元だとか26次元とか言っていても僕には感覚的にわかりそうにない(論文読めばわかるのかもしれませんが)。通りすがりさんのツッコミを読んで、同じように、商用/非商用の軸と自由/不自由の軸とが独立に存在するのだと感覚的に知らない方々に、言葉でこの軸が直交するのだと説明するのは大変そうだなあと思ったわけです。