2005-02-26

_FOSDEM 2005

行ってきました。 今回は 去年と違って 純粋に趣味だけだったので、 ちゃんと楽しめました。

行きの Eurostar は40分遅れでホームにやって来て、早速いやーな感じ。 最初は1時間遅れと出ていたので、 きっとフランスに入ってから、ぶっ飛ばしたんでしょう。 なんでイギリス側はこんなに故障ばかりなのやら。 全くなっとらん。

二度目なので道順を間違えることもなく、 それからは順調に... と言いたいところですが、 ULBに入る場所を間違えて、 変なところを迂回する羽目になったり。

その後は人がいっぱいうようよしているとこは完璧に無視して、 さっさと Hurd 部屋に直行。 腹が減ったので、自販機でチープなワッフルを食べてたら、 人がやって来たので、ダベり。

オンラインでは知っている人が多いのだけれど、 オフラインではほとんどみんなが初対面なので、 少しちぐはぐな感じも。 会った事があったのはNealだけか。 Nealが言うには三年ぶりなんだそうだけど、 二年ぐらいじゃないっけ? なんでフランスに?と訊かれたけれど、 複雑にしか答えられないので、 適当に済ませてしまいました。 前会ったときは日本だったものね。

発表は非常にいい加減なスケジュールで進められて、 最初がogiのext2fs 2GB超えの話。 修論のテーマにしようとしたんだけど、 実際やってみたら簡単過ぎて修論にはならなかったというオチが着く。 Debianには入ったが、本家にはまだ入っていないらしい。 なんで?と訊いたんだけど、 結構変更が広範囲な上に、まだ十分安定していないからだと。 しかし、完全に安定しないと入れないというのはどうかとも思いますね。

次がnealのHurdのデザインといくらか実装の話。 発表が上手いのは断然彼の得意技でしょう。 Linuxのスケジューラや仮想記憶の実装が山程あることを槍玉に挙げて、 さらに Linusがこの前言ったこと を逆利用して、 ファイルシステムだけでなくVMもユーザスペースに出さなければいけないのだと力説。 ファイルシステムは随分前からユーザスペースで動作しているので、 最近彼が作ったユーザスペースで動作するメモリ管理が主題でした。 まだ超えなければならない課題はいくつかあるものの、 彼の主張には説得力を感じました。

nealが長く話し過ぎたので、 次のmarcusの発表時間が削られつつも、 marcusがIPCの基本概念、歴史、現在の課題について。 写真や絵を豊富に使って、笑いの絶えないプレゼンでした。 なかなか上手いので、見習いたい所です。 セキュアなIPCや高速なIPCはすでに達成されているが、 セキュアかつ高速なIPCが現在の課題であるというのが締めくくり。 全くですね。 彼はとりわけDoSを気にしているんだけど、 果してDoSはどれぐらい重要なのでしょうねえ。 ローカルのIPCの話なので、 プロセス起ち上げまくり攻撃が現状どのOSでも防げないところを見ると、 あんまり気にし過ぎてもしょーがないような気もするのですが、 Hurdは既存のOS以上を目指しているんだから、 出来るものならやってみて欲しいですね。

それから、p2がDDF(Device Driver Framework)の話。 Hurdの話というより、 デバドラ一般に当てはまる話がほとんど。 聴衆一般のレベルに合わせたのかな。 IPCを介するとパフォーマンスが落ちるので、 モジュールをロードして、という話をしていたのだけど、 あんまりパフォーマンスを気にして、 くっ付け過ぎると、本来得られるはずの安全性が損なわれるので、 バランス感覚が必要だなあと思いました。

最後はmarcoがGRUB 2の話。全然Hurdじゃない。 けど、Hurd関係者はみなGRUBに関心があるので、 まあよかろうと。

その後はDebian開発者が多いので、 例のGPGの鍵交換が盛大に行われる中、 Debianと無縁な人々で延々適当な話題を。 フィンランドはカナダよりちょっと暖かいとか、 スペイン人やフランス人の英語力の低さとか、 CVSにコミットするときにGPGでサインするなんてやってられねーとか、 ARM、MIPS、PowerPCの携帯電話における利用とか、 Netherlandsの最後のsは何なのだとか、 ブートした後でもGRUBの機能を使えるようにしろとか。

時間がないので、Nealに随分誘われつつも、 夕食は辞退して、帰国。 イギリス、再びむかついた。 イギリス行かねえのに入国カードを強制的に書かせやがった。 税関でぐちぐち文句言ってやったら、 切符だけでいいです、と言われた。 じゃあ、初めからややこしいこと、やらせるなっつーの。 大体ベルギーからフランスに行くのに本来ボディ・チェックなんて要らないのに、 イギリスがシュンゲン条約に加盟してないからって、 無意味に乗客に負担をかけさせるなよ。

まあ、それはともかくとしてですね、 FOSDEMはボランティア主体のイベントとしては、 ヨーロッパ最大ですが (ビジネスの匂いがもっと強いのを入れるとLinuxTagの方がデカい)、 非常に良い集まりなんだと感じました。 なぜかと言うと、 昨今は商業的なビッグ・プレーヤ達のおかげで見え難くなっているけれど、 ある意味、本当にフリーソフトウェアの世界を動かしている人々が集まるからでしょう。 草の根、という言い方も可能かもしれませんが、 熱心にフリーソフトウェアに入れ込んでいるユーザ、 コアな開発者がたくさん集まり、 半分遊び、半分本気で濃いぃテーマを議論しています。

一つのプロジェクトに限定されないカンファレンスで、 このレベルを達成しているようなものは一体どれぐらいあるのでしょうか。 特に、実際に開発の中心にいる人々を数多く集めるという部分で、 ほとんどのカンファレンスはとても太刀打できないのではないでしょうか。 是非とも日本にもこれぐらいのカンファレンスを、と思うのですが、 地理的に多分無理でしょうね。 学生が多いので、 交通費がかかりすぎると全然来てくれませんからねえ。

本日のTrackBacks(全1件) []
_ 佐渡秀治:OSS Journal:コアな開発者が集まるイベント (2005-03-01 01:06)

人の日記に突っ込んでばかりで強縮だが、OkujiさんのFOSDEM紀行より。まあ、それはともかくとしてですね、 FOSDEMはボランティア主体のイベントとしては、ヨーロッパ最大ですが(ビジネスの匂いがもっと強いのを入れるとLinuxTagの方がデカい)、非常に良い集まりなんだと..