2006-11-25

_ FOSSプログラマを統率する7つのヒント

まあ確かにそうだわな、という記事。

ギークたちのグループをうまく統率できるようになるには、彼らに自分の実力を示さなければならない。

全く。 自分自身にもそういう傾向があるので、大体は共感できるのだが、 私が今まで何をやったとか、何を知っているとか、 そんなことを言っても戯言に近い。 本当に目の前で、リアルタイムに見せなければ効果がない。 逆にいうと、そこで敗北するような人は技術マネージャにはなっちゃいかんと思う。

しかし、この分野の多くの権威や彼らの教えに従うマネージャは相変わらず、昇進、給与、特別手当といった自分たちを動機付けるものがプログラマの動機付けにもなる、と思い込んでいる。

かつてフリーソフトウェアの発展に対して、 ちっとも儲からないのに開発するなんておかしい、 と宣う連中が後を絶たなかった。 最近では多少マシになってきたようだが、 あいかわらずコンサルタントは理解できない人が多いようだ。 本来多様な従業員の考え方を把握し、導かねばならないはずの職業なのに。 とりわけビジネス・コンサルタントには、 いかにして働かずにぼろ儲けするか以外に全く動機のないようなのが結構いて、 あなたそれでじんせいたのしいの?と思わず訊いてしまいたくなる程だ。

まあ人それぞれだという事を理解しなくてはならないわけだけど、 それには自分の価値観を認識するところから始めないといかんのだろうなあ。

ときには、たとえ彼らから反感を買うことになっても、理解を示すことよりも差し迫った要件を優先させる必要があるのだ。

そういうことである。 ビジネスやるのに個人の趣味にだけ付き合っている訳にはいかないから。 ここで忠告を聞き入れてくれるか、 むしろ逆効果になるかは、 結局日頃の対人関係なんだろうね。

_ プログラマーを目指す女の子はなぜ増えないか?

男女差は本質的には存在しないか、個人差の方が大き過ぎるので、 あまり意味がないと私は思っている。 だから、プログラマとしての能力差がないというのはほぼ同意なのだが、 これは飛躍だろう。

数少ない例外のほとんどが卓越したプログラマーであることを知っているだけに、このことが残念でならないのだ。

昔とある生物学の教授がぼやいていた話。 かつて80年代ぐらいは日本ではまだ生物学でも女性はほとんどいなかった。 そして、その大学で最初の生物学の女子学生が彼の研究室にやってきた。 彼女は恐ろしく優秀であった。 知性、教養、態度、どれを取っても非のうち所がなかったそうだ。

そして女子学生は次第に増え始めた。 彼女達はいずれも優秀であった。 男子学生など顔負けであった。

そのため多くの研究室は女子学生を欲しがるようになった。 「女子学生 = 優秀な学生」という構図が成り立ったためだ。 みんな取り合った。 そして彼女達は優秀でなくなった。 ゆえに誰も特に女子学生を望むことはしなくなった。

なぜか。 その教授は少数派であったことだけが原因だったのだろうと考えていた。 つまり、かつてほとんど男しか存在しない世界、 そこに様々な障害が予期されるにもかかわらず、 それでもやって来た学生だったのだ。 みんながやってるから程度で入ってくる学生と質が違って当然だ。 やがて女性が増えて、女性でも入っておかしいと誰も思わなくなったら、 もはや壁による選別はあり得ないから、 男性と差がなくなってしまったのだ。

私もおおよそそういうところなのだろうと考えている。 実際似たような現象は他でもたくさん見たことがある。 例えば、昔NetNews華やかなりし頃、非常に敷居が高いと言われていたが、 その分荒しもなく、質の高い議論が行われていた。 それがインターネット人口の増大に伴って、大量にユーザが到来し、 全くのごみ溜めになってしまった。 粘着野郎が増えてきて、それまで常連やってた優秀な人は嫌になって姿を消した。

同類のことは、メーリングリスト、IRCチャネル、特定のプロジェクト、 あるいは、Unix使いの技術力など、至るところに見られる。 だから、私はこれをそれなりに普遍性のある傾向だと看做している。 「黎明期優性の法則」とでも言おうか。 ビジネスの世界では、 いわゆる「Early Adopters」に並外れた顧客が多いことが知られているが、 結局それと同じことなんだと思う。 だから、今ちょっとしかいない人が優秀だからと言って、 もっと呼び込めば、さらに優秀な人が増えるとはならないのではないかな。

個人的には、男でも女でも、優秀な人はたくさん来てください、 そのためには女がもう少しは増えないと、 取りこぼしが多いかもね、とは感じている。 どっちにしても、やる気のある人がいいやね。

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